黒コーデの着こなし術
全身黒で、すっきりと洗練されたエディトリアルな雰囲気を目指したのに、鏡を見ると何かが違う。
コーディネートが魅力的に見えるどころか平坦に見え、体のラインもきれいに出るのではなく、服の中に埋もれてしまっているように感じることがあります。
原因は黒という色ではありません。問題は、黒をどう着こなしているかです。
すべてのアイテムが同じような形、質感、バランスだと、全身黒のコーディネートは立体感を失ってしまいます。
でも、心配はいりません。差し色を加える必要はありません。必要なのは、黒の中に少しだけコントラストを作ることです。
本当の原因はコントラスト
頭からつま先まで黒で統一すると、視線を引きつけるポイントがなくなりがちです。ラインも切れ目も、明確な視線の焦点もありません。
その結果、シルエット全体が一続きの形として見えてしまいます。輪郭が曖昧な服装は、実際の体型よりも大きく見えやすくなります。
例えば、黒のタートルネックに黒のパンツを合わせた定番スタイルを考えてみましょう。両方ともマットな質感で、ゆったりとしたシルエットなら、全身が一つの大きな塊のように見えてしまいます。
解決策は色を足すことではありません。黒の中でコントラストを作ることです。
例えば、黒のシルクブラウスをハイウエストの黒いジーンズにタックインしてみましょう。シルクとデニムでは光沢が異なるため、ウエスト部分にさりげない境界線が生まれます。それだけで、上半身と脚の始まりがはっきりし、シルエットが引き締まって見えます。

色味よりフィット感が重要
ゆったりした黒い服なら体型を隠せると思うかもしれません。でも、実際には体のラインそのものを隠してしまうため、輪郭がある服装よりも大きく見えることがあります。
黒のオーバーサイズパーカーに黒のジョガーパンツを合わせれば、確かに快適です。ただし、肩から足首までが一つの長方形のように見えてしまいます。
そこで、肩パッドが入り、ウエストがほどよくシェイプされた黒のフィット感のあるブレザーを試してみましょう。ボトムには、ヒップに張りつきすぎず、すっきりと落ちるストレートレッグの黒いパンツを合わせます。
ブレザーが上半身に構築的なラインを作り、パンツが縦に伸びるすっきりしたラインを生み出します。
服を着ているのか、それとも服に着られているのか。その違いは、フィット感によって大きく変わります。
素材を変えてルールを崩す
この問題を解決するために、白いベルトや赤いバッグを加える必要はありません。重要なのは、素材を組み合わせることです。
すべてが同じ生地、例えばコットンだけ、ジャージーだけという組み合わせでは、コーディネート全体が平坦に見えやすくなります。
一方で、ざっくりしたニットに滑らかなレザースカートを合わせたり、リブ編みのタートルネックに落ち感のあるサテンのスリップドレスを重ねたりすると、それぞれの表面に当たる光が変わります。
そのわずかな違いが、コーディネートに立体感を生み出します。光と影の微妙な変化によって、体のラインにも奥行きが感じられるようになります。
例えば、黒のコットンドレスに黒のレザージャケットを重ねるほうが、黒のコットンジャケットを合わせるよりも効果的です。
レザーは光を少し反射し、コットンは光を吸収します。その違いによって、上半身がぼんやりした一つの塊ではなく、立体的に見えるようになります。
手首と足首を忘れない
多くの人が見落としがちなポイントが、肌を少し見せることです。
黒で体を隠すことを意識するあまり、肌がまったく見えないコーディネートになっていないでしょうか。
手首や足首をほんの少し、1インチほど見せるだけでも、単調さが途切れ、視線を休ませるポイントが生まれます。
黒いシャツの袖を前腕までまくったり、黒いパンツの裾を折り返したり、足首が少し見える丈のパンツを選んだりしてみましょう。
わずかな肌の露出は、長い文章の中に入る読点のような役割を果たします。コーディネートに一度「間」を作り、視線が戻る基準点を与えてくれるのです。
それがないと黒がどこまでも続いて見え、実際よりも体が長く、さらに大きく見えてしまうことがあります。

仕立て直しが印象を変える
一つだけ実践するなら、黒い服を自分の体に合わせて仕立て直してみましょう。
既製品の黒い服は、必ずしも一人ひとりの体型に合わせて作られているわけではありません。肩まわりがきつい黒のブレザーや、裾が余ってたるんだ黒いパンツは、全体の印象を崩してしまいます。
近所の仕立て屋で、黒いコートのウエストを少し詰めたり、黒いジーンズを自分に合った長さに裾上げしたりするだけでも、印象は大きく変わります。
体にきちんと合った黒コーデは、体のラインに沿うシャープで美しい線を作ります。一方、サイズの合っていない服は、実際の体型とは関係のない余分な膨らみやたるみを生み出してしまいます。
次に全身黒のコーディネートを選ぶときは、色ではなく、シルエット、素材、そして肌の見せ方を意識してみましょう。
頭からつま先まで同じように統一するのではなく、フィットしたアイテムとゆったりしたアイテムを組み合わせ、手首を少し見せ、ブレザーなどは必要に応じて仕立て直してみてください。
鏡を見た瞬間に、その違いを感じられるはずです。そして、服の見え方だけでなく、自分自身の立ち姿や気分にも変化を感じられるでしょう。今週末、ぜひ一度試してみてください。
